concept
のどかな田園風景を左右に望む閑静な団地の中での計画である。
電柱などのライフラインが開発時から地中埋設されており、町並みに景観に配慮された団地内だけに、この団地内には様々な団地協定が定められている。
その中で一番の注意点は道路と隣地境界線からの後退だった。
軒先までの距離を1.5m後退させるという制限は、この細長い敷地形状にとって大きなハンデとなった。
この度の提案では、敷地形状に逆らう事なく、余裕が無い中から出した提案といえる。
変形をチャンスと捉え意味のある外観を創り出した。その容姿はどこか貝殻のようなカタチ。
北から西にかけて描く緩やかな曲線の壁は直線とは違ういくつかの効果を住環境に与えていると思う。
一つの面に対して開く開口部以上に建物内に光と風を取り込む事が出来る。
道路に沿っ多様な外観が街並み景観に馴染んでいると思っている。
道路側からの視線はしっかりと閉じ、南側の庭に向いて開いている。ぐるぐると回れる回遊動線はコンパクトにまとめたスペースを広く活かす。
デッドスペースになり易い部分を有効に生かす事で直角以上の広がり感を住まい手に感じてもらえると思っている。
2階には主寝室とフリールームがある。幼少期は1部屋として使い、子供の成長と必要に合わせて将来的に間仕切る事で個々の独立した部屋となる。
山口県下関市菊川町 2015,1 竣工